杜の蔵 兜釜の粕取焼酎

本日、知人と三潴の杜の蔵さんへ行ってきた。

純米蔵として知られる杜の蔵さんだが、そのルーツは粕取焼酎だ。
粕取焼酎は最近ではいろいろなものが出回っていて、先日紹介した繁桝も吟醸粕から焼酎を造っている。
しかし、もともとは吟醸粕など無く、普通の酒粕を適量の水で薄め醗酵させたものに米の籾殻を混ぜ込み、兜釜(かぶとがま)と呼ばれる古典的な蒸留器から粕取焼酎は造られていた。
繁桝でも随分前には数年に一度造っていたようで、父に聞くと蒸留時に発せられる臭いは強烈だったと言っていた。

今回の見学のきっかけは、先日やまけんが久留米に来た際、杜の蔵の森永さんも同席されていて、昔ながらの粕取焼酎の話しになり、その強烈な臭いを是非体感したいというマニアな人達がたまたまその場にいたところから始まったのだ。(勿論、北部九州(特に福岡)の伝統的な酒のひとつである粕取焼酎を実際に蒸留する貴重な現場を見るのが一番の目的。)

森永さんによると、粕取焼酎はあくまでも副産物で、清酒の副産物である酒粕を堆肥化するための工程で出来るものらしい。
堆肥としての焼酎粕の効果は大きく、山田錦を自社栽培しているとある酒蔵は、それまで精米時に出ていた赤糠(精米時の最初の方に出てくる米糠、色が付いているのでそう言う)を圃場に撒いていたに加え、この粕を堆肥化したものを鋤きこむことで収量が増えたそうだ。

さて、その蒸留器。
木桶をひっくり返したものを4段に重ね、その上に金属製の兜釜が載っている。
木桶の一番下の層に蒸気が入る。
その上の3層はそれぞれ蒸籠(せいろ)になっていて(鰻のせいろ蒸しの容器をイメージして欲しい)、それぞれの蒸籠に再醗酵した酒粕に籾殻を混ぜ込んだものが入っている。
兜釜の上部には絶えず水を張っていて、兜釜からは蒸留されたものが出てくる管が傍の冷却装置(水を張ったタンクに蛇管があり、蒸留液が蛇管の中を通って冷やされるシンプルなもの)が設置されている。
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さて、その蒸留の仕組みだが、蒸気で熱せられた籾殻入り酒粕からそのエキスが蒸発し、蒸留器の上へとあがっていく。それが兜釜の上部の水で冷やされ水滴となり、兜釜内部で集められ、管を通り、冷却装置でさらに冷やされ焼酎が出てくるのだ。

焼酎の本などを読んでいると、これは原始的な蒸留の形をちょっとだけ進歩させたもので、中国や韓国などでも古い時代から行われていたらしい。
確かその本では、兜釜などによる蒸留器は大陸由来のもので、沖縄や南九州で行われている南方系のものとは違う独自のものということであった。

この蒸留法は残念ながらほとんど行われておらず、杜の蔵さんでもこの商品を作る事での採算性というより、会社の原点を伝えていくために木桶せいろ蒸留を行っているということだった。

ところでその味は深みのあるもので本当に旨いものだった。
蒸留したてでガス臭がり、その後どう変化するかは判らない(というのは私の焼酎での経験不足でイメージが湧かない)が、思っていたよりも素直に美味しいと思える味だった。
そして香りは決して「強烈な臭い」というものではなく、意外と心地よいものだった。

杜の蔵さんのこの粕取焼酎は僅かながら商品として販売されている。
3年熟成させたものを試飲させてもらったが、これは旨い。
是非、杜の蔵に伝わる筑後伝統の粕取焼酎を飲んでみて欲しい。

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焼酎粕に糠を混ぜ込んでいるところ。

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