吟の里 上槽

先週金曜日、吟の里を上槽したということだったので、またまた繁桝へ。
今月は何度お邪魔していることか。
蔵の皆さんすみません。

すでに上槽を終えていたので、樋の口ではなくサンプルにとったものを試飲した。
ところで上槽というのは醗酵を終えた醪(もろみ)を搾る作業のこと。
槽(そう)は「ふね」とも呼び、このブログでもたびたび紹介している箱型の圧搾機のこと。
そういえば、和紙漉き、豆腐づくりなどこうした箱型のものはどれも「ふね」と呼ばれている。
繁桝蔵と吟の里 011

以下その日の手帖に書いていた簡単なコメント。
「色透明に近い。新酒バナ心地よい。おとなしめ。きれいな味。昨年に比べるとバランスが取れている。秋が楽しみ。」

昨年のものに比べると調和の取れた味でよく出来ていると思う。
杜氏に聞くと、吟の里は比較的扱いやすい米だったとのこと。
ちなみに上の写真にヤブタと書いてあるのは圧搾機のこと。

繁桝蔵と吟の里 001
これが薮田式圧搾機。
随分年季が入っている。
写真左したの金属製の箱のようなものに搾った酒が流れ込む。
醪(もろみ)から酒に変わる瞬間。
圧搾機から酒が出てくるところを「樋の口」という。
出てくるところそのものをそう呼ぶ場合もあるが、この箱を樋の口ということもある。

繁桝蔵と吟の里 003
こんな感じ。

この上には…、
繁桝蔵と吟の里 006
酒の神様がいる。

余談

樋の口で思い出したこと。
昨年近所の農家の奥さんに聞いた話。

川から田んぼまでの水の流れの中でその場所ごとに呼び名がある。
まずは「堰(せき)」。この辺りだと玉石積みのあれだ。
堰から引っ張った用水は「井手(いで)」で毛細管のようにさらに小さな用水に分配される。
そして「入水口(いりみのくち)」。田んぼに水を引き込むところ。
最後に「落水口(おてみのくち)」。田んぼから水が出て行くところ。基盤整備されていない田んぼだとこれが次の田の入水口になる。
堰や井手はよく耳にするが、いりみのくち、おてみのくちは初めて聞いた。古日本語的な語感がいい。

樋の口のこともこの話を聞いた時に何か聞いた気がするが、肝心なことをメモしていなかった。
そのうちにまた聞いておきたい。

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