自由学園 明日館

昨日、久し振りに東京へ。
日本ナショナルトラストが主催する「地域遺産フォーラム2001」で事例報告をするために池袋の自由学園明日館へ行ったのだ。

この明日館、帝国ホテルで知られるフランク・ロイド・ライトが設計し、国の重要文化財に指定されている。
自由学園明日館 007
木造、漆喰塗。この向かいにある講堂でフォーラムは開催された。

自由学園明日館 006
食堂として使われた部屋。ここでフォーラムの打合せ。贅沢な気分。

自由学園明日館 011
食堂にある椅子。これは遠藤新デザインで創建当時のもの。予算が無かったようで、低予算で出来るものを考えたそうだ。

さて、肝心のフォーラム。
サブテーマは「地域遺産を活かしたふれあい創造」。地域遺産と観光を取上げた話が多かった。
それで私はというと、八女ふるさと塾で今行っている「八女福島・町の暮らし・文化調査」の報告だった。15分間で、八女福島のこれまでのまちづくりとふるさと塾の位置づけを話し、今回の事業を報告するつもりだったが、途中、事業を始めた経緯についてどうも上手く説明できず(途中、舞い上がってしまった)、来場の皆さんにはよく解らなかったはずだ。
その辺を自分の中でまとめるためにもう一度ここに記しておく。

八女福島は伝建地区に選定されて以降、文化庁の伝建と国交省の町並み環境整備事業の二つの制度を利用し、町家などの修理・修景が進んでいる。
その間、改修された空き家などに店舗や住居として新しい住人が入ってきた。(この辺の経緯は書き始めると長くなるので今回は割愛)
現在では32軒。
これだけでも町並み保存の価値は大きいと思う。

その一方で、伝建地区の制度上、景観についての制約などがあること、町並み保存がいまのところ経済的効果に直結していないことなどから、理解してもらえない住民の方も少なくない。

また、ハード面での町並み保存が進む中、八女福島に伝わってきた生活の中で育まれてきた暮らしの文化がこのままではわからなくなってしまうのではないかという危機感もある。
私達の言う、暮らしの文化とは、日々の生活の様子、町家の様子、冠婚葬祭、様々な場面での食、昔からの商売など、高度経済成長以前、八女福島の先人が長い時間をかけて積上げられてきたものだ。
今の70代、80代の方なら若い頃、子供の頃、見聞きしているはずだから、今のうちに調査をしておこう、というのが今回のきっかけ。

そして、この調査したことをきちんと記録して次の世代に伝えることと、これからのまちづくりに活かせるものがないかを検証すること、そして、活かせるものは情報として発信したり、それをもとに新しいもの(単に新しいのではなく、地域の歴史性を踏まえたもの)を創造すること、もしくは、創造のために情報を提供することなどを考えている。

つまり、今回の調査は八女福島の地域遺産である「町並み」と「町並みのなかで育まれてきた暮らし(というよりも暮らしの必然性の中で町家は作られた)」の両方を後世に伝えること、その中から経済的な部分へもつなげていこうという取り組みだ。

自分の発表はイマイチだったが、素晴らしい会場と参加者で有意義な時間だった。

でも、さすがに日帰りは堪える…。

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