古い水墨画

八女市史を開くと古池花鸚(かおう)という江戸の終わりから明治にかけて活躍した俳人のことが出ている。
2ヶ月ほど前、花鸚が暮らしたと思われる家を片付けられるという話を聞き、お宅にお邪魔した。
その際、水に濡れ、著しく状態の悪い短冊や何やら書いてある紙の束が雑然と入っている白いカビだらけの古い木箱が、無造作に中庭に置いてあった。これはもう捨てるから、とおっしゃったので、半分はその木箱に惹かれて、半分は中に入っているものに興味があり頂いてきた。

数日経って、箱の中を整理してみた。
残念ながら、箱の中身の下半分は白いカビが紙の中まで広がっていて、紙ではなくひと塊の別の白い物質に生まれ変わっていた。その白い物質は恐るべき生命力で、木箱にもしっかり癒着。箱を水洗いし、きれいにするまでにほぼ2時間。すっかり疲れ果ててしまった。
しかし、その後に出会いが。上半分の紙の束を取り出し、湿気を含んだ紙を一枚ずつ剥がしていくと、痛みは激しいものの素晴らしい絵が次々とでてくる。それぞれに番号が振ってあり、どうも花鸚の習作のよう。

下の龍の絵はそのひとつ。
古池花鸚絵 001

この鳥、何枚も描かれている。
古池花鸚絵 004

あまりに何枚もいい絵があるので、どうしたものか思案中。
もとの持ち主の方にも連絡しないと、と思っているところ。