米品種大全

米品種大全3

先週末、お客さんから「米品種大全3」という分厚い本をお借りしました。
この本、うるち米、酒造好適米、もち米などに分類され、実に400種以上の米品種がそれぞれの特性、栽培地など詳しく書かれています。
私は別に米の専門家ではありませんが、酒米などについては多少なりとも興味があり、ぼちぼちページをめくっています。

酒というと真っ先に思い浮かぶのは「山田錦」。
山田錦は昭和11年に兵庫県の農業試験場で「山田穂」と「短稈渡船」の交配により育成された品種です。生産量第一位は兵庫県。福岡県は第二位。ご存知のように前原で栽培されています。ただ、昭和30年ごろ(だったと思う)から前原で栽培されている山田錦と兵庫の山田錦を比べると前原産のものが10センチ程短稈で、見た感じ同じ品種のようには思えません。時間の経過とともにその土地に合った品種に代わっていったのかも知れません。

「山田穂」は在来種でその由来については諸説あるようです。
「渡船」は滋賀農業試験場が福岡県から取り寄せた「雄町」を淘汰したものとあります。移民と一緒にアメリカに渡り、その子孫が今も栽培されているようです。山田穂や渡船を使って酒造りをしている蔵もあります。たしか、兵庫の本田商店さん(龍力という銘柄で有名)が力を入れてあるはずです(これもまた、うろ覚え)。一度飲んでみたいと思いつつ、まだその機会がありません。

さて、「雄町」です。
繁桝でも「可也(かや)」という銘柄で酒を造っているのは、朝日屋に来られる方ならご存知でしょう。戦前、西日本で広く栽培されていたという話は聞いていました。この本によると岡山県の岸本甚造さんという方が慶応2年に選抜改良した品種とあります。当初、二本草と呼ばれていたのが、育成地にちなみ雄町と命名されたようです。その後、明治、大正期に遺伝的に優れた系統を選抜する純系淘汰が行われ、現在栽培されているのは大正11年に岡山農業試験場で育成されたものとあります。

これら以外にも、美山錦、八反錦、神力、露葉風、金紋錦、菊水、穀良都、西海134号、出羽燦々、豊国、さがの華、大関、祝、強力など。
随分と多くの品種が作られてきたのですね。
当然のことながら、この本に載っていない品種も相当数あるはずですから、美味しい酒への取り組みは酒蔵の中だけでなく、田んぼや農業試験場など長い時間をかけ、多くの人の手を経て行われてきたのがわかります。

最近、可也の純米酒が人気です。(というか自分が気に入っているので、少々押し売り気味にお勧めしています)
特に燗にして飲むのが旨いですね。
可也の原料米「雄町」のことに思いを馳せながら飲むのも一興です。

ところで、この本。
出版社名をみると「米穀データバンク」とあります。
どこかのパクリじゃないですか!?

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